校正・散髪・古本屋

昨日、家に帰ると某論文の校正が来ていた。
朝起きて校正をする。午後までかかる。校正終わって郵便局に出しに行く。郵便局で校正出して散髪に行く。
散髪に行ってから、古本屋に入る。古本屋のじいさんが、なじみの客に、
「店に入ってきて、何にも買わずにでていく人もいる。ポケットに一銭もいれんと店にくる人もいる。ええ。商売を長いことしていたら分かりますよ。私は今年で77になります。しかし、その中には、ありがとうございました、と声をかけてくれる人がいる。ええ。半分くらいはいますよ。」
などと大きな声で話をしている。
これは、何も買わずに店を出ることができないのではないか、と思いながら本を探す。しかし、買うべき本がない。確か、岩波写真文庫が100円で売っていたはずだ、と思って探したがろくなものがない。めぼしいものは前に来たときに私が買い占めたのだった。
せめてマンガに何かよいものはないかと探したりしたが、ない。
じいさんは、客を相手に、自らの商売論を話している。「心に思いついたことを書いてはっておるんです。」「松下幸之助さんはえらいと思います。」「昔は、この辺にも本屋がまだあった。しかし、9億円の負債を抱えて倒産です。お父さんは苦労したが、息子は苦労してない。」云々。
困った。困った、と思いながら出口の方にこそこそと近づいていき、ちょうど新しい客が入ってきたところですっとでていく。
ここは、「ありがとうございます。」とじいさんに声をかけるべきであっただろうか。