博士の上は?

今日、話を聞きに行ったところのおばあさんが、私の名刺をみて、
「博士の上ゆうたら何になりますんで?」
ときく。難しい質問である。
「博士の上はもうないんですわ。」
というと、
「うちのアニが医者で、92で亡くなりましたけど、医学博士もらうんに難儀した、ゆうとりましたんや。」
という。
「そうですか。我々の博士は、もうそういうお年のかたの博士とは格がだい分落ちるというか、違いますんで。まぁ。30前くらいまで学校いって、論文かいたらもらえますんや。」
というと、
「はぁ。うちの親戚の友達が、『助教授になった。』ゆうんでっけど。博士と助教授ゆうたら助教授の方が上ちゅうことですか。」
「まぁ。博士とって、どっかの大学にやとうてもらいますと、文系と理系でだいぶんちゃいますけど、助手とか講師になって、次に助教授になって、教授であがりですわ。」
「はぁ。博士と助教授の間にまだいろいろあるわけですな。いや。その時に、『助教授ゆうてなんぼもろとると思う?』聞かれて、その人の歳が40ちょっとやったさかいに、40万円け?ゆうたら笑われましたんやに。」
「いやぁ。まぁ。ごっつもうとってんとちゃいますか。30で職についても人より10年おくれとりますから。10年分は多もうとかなやっとれませんわな。」
などと話をする。
「博士と助教授の間にまだいろいろあるわけですな。」とは、なかなか味わい深いことばではないか。