納棺師

アカデミー賞をとった映画が納棺師というのを扱っているらしい。
祖父の葬儀の時には、きれいに化粧して服を着せて棺桶に入れる役のおばちゃんが二人来た。祖母の葬式の時はそういうのがなかったので、葬儀屋の新たなサービスらしい。
このおばちゃんが納棺師というのかは知らないが、大変手際よく乱れた髪や、伸びたひげなどを整えて、化粧をしているとは思わせない程度に化粧をして、服を着せて棺桶におさめてくれた。
こういうことは、本来親族の手でおこなわれることであって、曾祖母の葬儀の時などは、親族みんなでああやこうやといいながら帷子を着せて棺桶に入れた記憶がある。棺桶が座棺の時は、硬直した死体をボキボキいわせながら折り曲げておさめたものであるという。
人が死ぬと、苦しんで死なずともだんだんと死んだ顔になっていくものである。一日おけば一日分臭くなって、顔も死んだ人の顔になってきて見ていて気持ちがいいものではない。おばちゃんたちは、そういう顔をあっというまに見苦しくなくしてしまった。
たいしたもんだと親族一同感心したのだが、そういう作業が親族の手からとりあげられてしまったということでもあり、よいのかどうかはわからない。