上げ馬神事の事件

上げ馬神事:馬虐待?未成年に酒?三重県が適否調査
2010年1月22日 2時30分 更新:1月22日 2時30分
 三重県桑名市の多度大社と同県東員町の猪名部(いなべ)神社で春に行われる県指定無形民俗文化財の「上げ馬神事」について、県文化財保護審議会が神事を現地視察し、文化財指定にふさわしいか調査することが分かった。馬をたたく習慣などに動物愛護団体から批判があるほか、未成年者に飲酒させる慣習が続いている可能性があると懸念しており、調査結果を基に指定継続の是非を判断するという。
 南北朝時代に始まったとされる多度大社の神事は1978年、猪名部神社は2002年に文化財指定された。
 いずれの神事でも、急斜面を馬に乗って駆け上がり、駆け上がった馬の数で稲作などの豊凶を占う。馬を興奮させるため「つくる」と称してたたく習慣があるほか、興奮剤を与えている可能性があるとして、96年ごろから動物愛護団体が「虐待だ」と批判している。また県教委によると、未成年者が飲酒して騎手を務めている疑いもあるという。県教委は地元住民ら主催者側に改善を求めてきたが、「馬の不適切な扱いが改善されていない」と判断し、調査を決めた。県教委は「上げ馬神事は貴重な観光資源。健全に運営してほしい」と話している。【岡大介
http://mainichi.jp/select/today/news/20100122k0000m040149000c.html

文化財「上げ馬神事」は動物虐待? 愛護団体が刑事告発
2010.3.25 11:56
 急な坂を馬に登らせて農作物の作柄を占う三重県の無形民俗文化財、多度大社(桑名市)と猪名部神社(東員町)の伝統行事「上げ馬神事」で、馬の腹をたたく行為が「動物虐待」にあたるとして動物愛護団体刑事告発し、文化財指定見直しの議論が持ち上がる事態に発展している。坂の傾斜を緩和するなどしたものの、地元からは「勇壮さにかける」「スペインの闘牛は動物虐待ではないのか」など反論も続出。伝統か動物愛護か−。鎌倉時代以来続く神事の行方が注目される。
 上げ馬神事は、馬に気合を入れ高さ約2メートルの急斜面を登らせ、その成否で豊凶などを占う神事。多度大社では昭和53年、猪名部神社では平成14年に無形民俗文化財に指定され、関西や中部圏から多くの観光客が訪れている。
 しかし、馬を興奮させるために棒などでたたく行為に対し、動物愛護団体が改善や文化財指定の見直しを県に要望。県文化財保護審議会が4月3、4両日に猪名部神社、5月4、5両日に多度大社で行われる神事を現地視察することになった。
 さらに、多度大社の神事に対し、「動物との共生を考える連絡会」(東京都江戸川区)などが昨年12月、被疑者不詳で動物愛護管理法違反罪で桑名署に刑事告発する事態に及んでいる。
これらの動きに、多度大社の地元自治会の石川功会長は「今の情勢にあった対応をしなければならない」と話す。一方、ある住民は「坂を低くして馬がぽんぽん飛べるようになれば、醍醐味(だいごみ)が失われる」などと話し、神事の変更に難色を示す声も少なくない。
 猪名部神社の地元自治会幹部は「改善を続け、今は馬をたたいていない」と現地調査そのものに反発。ただし、今春の神事では「『伝統と違う』などと反論が出るかもしれないが、馬に負担をかけないようにする」とし、坂の傾斜をゆるやかにした。
 県文化財保護審議会の植木行宣委員(元京都学園大教授)は「地域で伝えていくのが民俗無形文化財。馬の扱いにたけた人を外部から招けば、文化財としての価値がなくなる可能性もある」と解決の難しさを指摘した。
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100325/acd1003251201004-n1.htm

三重で上げ馬神事、県の審議委員が視察 1馬転倒死「問題なし」
2010.4.3 21:49
 武者姿の若者が馬で土壁を駆け登る「上げ馬神事」が3日、三重県東員町の猪名部神社で始まった。神事は県指定の無形民俗文化財だが、馬を興奮させるため騎手以外の参加者が腹をたたく行為などが問題となり、今年は県文化財保護審議委員ら十数人が視察。1頭が転倒死したが、委員の1人は「一般的なアクシデントで問題行為は確認できなかった」と話した。
 上げ馬神事をめぐっては、「動物虐待にあたる」として動物愛護団体から文化財指定の見直し要望があり、議論となっている。
 観客らの熱気に包まれる中、花笠をかぶった6人の若者が交代して12頭に騎乗。「絶対上げるぞ」と声が飛ぶ中を約80メートルの馬場を疾走し、高さ約2メートルの土壁に挑んだ。
 今回は、土壁の前に坂をつけて登りやすくするなどの対策をとり、「騎手以外の参加者が馬をたたかないようさらに徹底した」と地元関係者。1頭が壁を登れず転倒死したが、過去にも馬の死亡例はあったという。
 神事は800年以上の歴史があり景況などを占う伝統行事。4日も行われる。同県桑名市の多度大社の同神事(5月4、5日)も視察対象になっている。
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100403/acd1004032156002-n1.htm