「葬」なのか?

ビンラディン容疑者:水葬? イスラム教慣習に反し、臆測

2011年5月2日 23時21分 更新:5月3日 0時5分

 【カイロ和田浩明】国際テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の遺体を、殺害した米当局が海に流したと米主要メディアが報じている。イスラム教の慣習では土葬が一般的で、本当ならイスラム教徒から批判が強まるのは必至。殺害を巡り「何らかの作為」を疑う声も強まりそうだ。
 ビンラディン容疑者の遺体の扱いについて、米政府高官は「イスラムの伝統に沿って行う」と述べた。イスラム教では通常、遺体は死後24時間以内に土葬する。だが、米メディアが流した水葬説について、米政府高官は「引き取り手がいないからだ」とAP通信に説明したという。
 ビンラディン容疑者はサウジアラビア出身だが、同国の国籍はすでに剥奪され、遺族も絶縁している。引き取り先がテロの対象になる可能性もあり、悪名高い人物の遺体の引き取り手を探すのは確かに困難だ。また、埋葬地がイスラム過激派の「聖地」になるとの指摘もある。
 だが、米政府が「最重要容疑者」として行方を追っていた人物の遺体を殺害直後に水葬し、場所も明らかにしないのは、極めて異例な措置だ。米政府は「複数の方法で本人確認をした」と説明しているが、遺体がなければ検証もできない。
 イスラムスンニ派の最高権威機関アズハルのタイエブ総長は2日、エジプト政府系紙アルアハラム(電子版)に対し、遺体を海に流すことは「すべての宗教的、人間的価値に反する」と批判した。