一枚の価値

私が今、調査に行けば一カ所で最低10枚は撮ってしまうだろう。ちょっと祭りなんかにいけば何百枚になる。
フイルムカメラを使っているときは違った。祭り一回に10本撮るのは珍しかった。どっちかというと、やってしまった。。。という感じだった。
普通の行事なら10枚撮ることも少なかったと思う。数枚だっただろう。
フイルムは、フイルム代も要るし、現像代も要し、プリント代もいる。しっかりしたところに現像に出せば、すぐに何千円、下手をすると万かかった。私がフイルムで写真を撮っていたのは、フイルム時代最末期(今も流通しているけれども)だ。
今から50年以上前のフイルムや現像代は比較にならないくらいのものだったであろう。
今整理している昭和30年頃の写真は、○○郡○○村で「コト」とタイトルの振ってある写真は、コトノハシ一枚だけである。それが、著書の図版に入っている。写真=原稿図版的な勢いである。シャッターを押す気合いが今とは全く違っているだろう。
今のデジカメなら、ほいほいほいと一動作ごとにビデオの代わりにしてやろう的な感覚で撮ってしまうが、フイルム時代は違った。それなりに「これっ!」というものしかシャッターを切らなかった。50年前の一枚はどんな感覚でシャッターを切っていたのだろうか。