「研究」を地域で「役に立つ」ようにするには

よく知っている坊主から「ほんでおまえは民俗の調査してどないすんねん。何か役に立つんか。」といわれた。
よくわからんが、多分、「銭になる」ものはもたらせなしだろうし、何かをして劇的に村がよくなる、ということもないだろう。急に人や子どもが増えることもないだろう。
私が、地域に還元できるものがあるとすれば、とりあえずは村落生活を営む人々に基礎資料を提供することであろう。
聞き取りをすると、喜んでくれる人はたいそう喜んでくれるので、その人たちの晩年をほんの一瞬、すこしだけゆたかにすることは可能であろう(回想法とかで実践されている)。
もっと関わることができるならば、村に誇りをもって生きることができて、村の人々の紐帯をよりよい形で結び合わせることではないかと思われる。それは、一年二年の話ではなく、10年とかのスパンで考えないといけない問題であろう。
更に、そんなことをどうやってやれるのかという方法論は持ち合わせていない。多分、問題をもっと切り分けていかないとどうしようもないと思われるが、それは個別の村の事情にあわせないとどうしようもないことだから、やはり調査をしてみないとわからない。
それをやるとしても、村でばりばり動く人たちがいて、その人たちと良好な関係を保てないと不可能であろう。
結局、何とかしたい、という人達に、(劇的な効果は期待できないけれども)何らかの手を貸すことができるという程度のことでしかない。
勿論、国や自治体の調査事業で「役に立つ」ことはできるが、それで村の「役に立つ」ことはできないと思われる。