「個に応じた」という言葉

教職科目の教科書を読んでいると、しばしば「個に応じた」ということばがでてくる。
「個に応じたきめこまやかな指導」とかという文言もある。
しかし、こういうのは、一クラスが10人以内、大学で言うゼミみたいな感じのところでなら充分成り立つ言葉だろうけれども、一クラスが30人とか40人とかそれ以上とかそういうレベルでは設定すること自体がおかしいテーマのような気がする。
本当にそんなことができるんだろうか。勿論、できる人はいるんだろうが、そういう人はスーパーマンではないだろうか。スーパーマンを基準にして凡夫を論じるのは間違っている。
寝食を忘れて、生活のすべてを教育に捧げればできるのかもしれない。でも、そんな仕事の仕方をしていたら死んでしまうに違いない。
文字通りにとってはいけないのだろうか。絶対出来ないレベルの理想を掲げて、そこにどこまで到達できるか現実で考えましょう、ということなのだろうか。あるいは、根性を鍛えましょう、ということなのだろうか。
単なる努力目標を現実目標のごとく書いているのだろうか。
どういう発想でこういう問いが立てられているのか分からない。
なんか、教科書には書けない、教育学者にだけに師資相承されている秘密の方法でもあるんだろうか。